六月のギター/草野春心
 
た時間
  君が蓋をかぶせた
  その思いを盗む決意をした
  突然の猫の鳴き声にぴくりとした
  小さな君の肩を抱いて



  霧雨の中を歩くような
  はじめてのくちづけ
  庇を打つ雨音
  おだやかな衣擦れ
  君の存在感
  月光



  心はわからない
  少しずつページは繰られ
  君の肌も手垢にまみれ
  嘘ばかりが増えてゆく
  そして涙さえ流せなくなる
  きっとそんな日が訪れる



  (今日の日を忘れないで)



  庇を打つ雨音
  湿ったダンボール
  夜の闇には初恋が浮き上がり
  すべての命が息絶えた後に
  君の爪弾くアルペジオが
  いつまでもいつまでも響くだろう


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