小詩集【にゃお。】/千波 一也
 

   やがて、
   帰らぬものをさがす日に
   泣き声はただ
   月になります

   どうか、
   続きますように
   せめてもの
   かけらが
   どうか





四 階段下は果てしなく



  階段下は果てしなく
  あらゆる定義をつぶして
  みせる

  のぼる者には延々と
  おりる者には
  刻々と


   語るなら
   陰たちのとく
   無声に届け


  階段下は果てしなく
  ひとつの素顔を
  隠してみせる

  やさしい時間の
  吹きだまり

  ぽつり、としずくが
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