モスク幻想 宝石のまなざし/いねむり猫
 
に立ち向かう

ただ生きること 生きのびること
その先の死を思うことは 禁じられた迷いだ
すべてはすでに決められている
蒼い眉を寄せる迷いは 知識と覚悟の不足
神へ捧げる心の揺らぎだ

だから 生きることへの迷いは 神の宮殿の恥じなのだ
戒律を学び従うことのその先に 称えられる死がいつ来るのか
それは神の黄金のまなざしだけが 見通している

大儀と法のために己を差し出す 聖戦の大河
男も女も子供も 喜びの光を目に宿して 
戦いへと身を投げ出し続ける

輝ける死へとつながる 人の大河 信仰への献身 
神に誠実であれば いつ死へと身を投げても同じなのだ

快楽は躊躇される 
快楽は命の輝きではなく
命の輝きを曇らせる 強固な世界の揺らぎなのだ

だから アバーヤとスカーフから垣間見える 
美しい娘のまなざしが 
私に微笑んでくれているのか
知るすべがない

硬質な宝石のまなざしに打たれる

モスクの幻想


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