参列/AKiHiCo
 
窓硝子越しに見えますは
黒装束の参列です
列の中央に柩らしき箱
あの中には無数の過去の粒子よ
誰が眠っているのでしょう

わざとらしく顔を伏せ
道をゆっくり歩き
向かう先は大きな墓地ですか

人が一人眠ってしまった
ただそれだけなのに
どうしてあそこまでするのか
死者は其れを望んでいたのでしょうか
夢が壊れ未来が途絶え
希望は散りました

純白の粉が青い空に舞います
骨が砕かれたのか
それともどこかに忘れてきた思い出か
小さな子供が両手を広げております

死者は自ら命を絶ったと
風の噂で知りました
幸せが少しは在る筈の未来
それに勝る現状の不幸絶望苦痛

参列者の誰か一人でも
死者の苦悩に
気付いていたのでしょうか
私は窓から離れました
寝台に仰向けになり
目蓋を閉じます

今度産まれてくる時は
死者に幸福の光
降り注ぎますように
護られますように

戻る   Point(3)