水仙あるいはナルシスト/
風音
下をむいて咲く水仙は
ナルシスト
あまりの自己愛に
水辺で自分だけを
見ていたナルシスは
女神の怒りを受け
ついには水仙に姿を変えた
今でも
水辺で
己が姿を見つめる
水仙
そんな神話をよそに
可憐な佇まいで
水辺を覗いている
その豊潤な香りだけで
自己を主張しながら
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