魂の行方/AKiHiCo
 
仰向けに寝台に横に
疲れた魂はこの身体から
しばらく戻らぬ旅に出る
わたくし、自然と目蓋を閉じます
赤や白の球が目蓋の裏側で
そっと弾けると
静かに涙が零れるのです

意識を寝台に委ねて
指先まで蒼
月光が部屋を仄かに照らし
長い影を作ります
幻想的な悲しい部屋

ぽとりと落ちた先は
いつかの夢の続きです
眼覚めれば忘れてしまう
そんな脆い記憶ですが
そこに落ちると蘇るのでした

魂のない身体は
その状態での出来事を
細かく大雑把に
覚えているものなのです
空っぽの器が見る現よ
目蓋が開くまでの幻よ

眠っている間の
魂の行方とやらを
探ってみたくなりますが
魂はそれなりにこの弱った身体を
気にかけてくれているのでしょう

眼が覚めたら
五分間だけ
寝台に横になり
魂におかえりなさいと言うのです

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