確められないひと/恋月 ぴの
多摩川に架かる鉄橋を渡りきる頃
メールの着信を知らせる携帯の光が走る
両親も恋人と認める彼からのメール
簡潔な朝の挨拶に優しさ溢れる短いことば
先輩は幸せ過ぎるから
傍から見ると憂鬱そうな表情でもしていたのか
後輩がそんなことばで励まそうとした
日に何度かメールをくれる
いつものところで待ち合わせをして
気が引けるぐらい贅沢な食事と
二人の将来について語らいながらお酒を酌み交し
気が向けば彼の求めに応じて身体を許す
彼の実家で家族にもお会いした
可愛い妹さんは「お姉さん」と呼んでくれる
彼女がこちらへ遊びにきた時には自宅へ泊めて
三人でディズニーランド
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