なにもないぜ、ぼくたち/青木龍一郎
公園に座っていると虚しくなることがある。
一人でポツリとベンチに座っている。
前日の雨のための、少しばかりの湿りを気にせずにボーッと座っている。
目の前の行き来する白球。
握りこぶし位の大きさの白球をバットで打ち続ける少年たちの顔には笑顔が溢れていた。
彼らのエンディングを想像している。
僕は彼らのエンディングを想像している。
鳥はさえずり、太陽は照りつけ、昨日の雨はどっか彼方へ去った。
今日はいい天気。
この公園にはホームレスが居ない。
笑い声と共に野球に興じる少年達。ロッテリアのハンバーガーを食べるカップル。
自転車を止め
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