爪先立ち/ICE
 
16790億と、幾つ、あぶくの夜を数えた。
僕の白い凍えた冠は、少し、角を失った。

それでも、変わら、無い。
あのヒトが、朝を迎える迄に、ふわり、
ワルツをひとつ。
あのヒトが、明けを迎える迄に、らら、
戯曲をひとつ。
あのヒトが、死を迎える迄に、どくどく、
醒めない夢をひとつ。

あのヒトが、知る前に気付く前迄に。
そして、カチリと堅苦しい、凡てを閉ざす施錠の音を聞いた後で。

また僕は、新しいコレクションを始める。
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