ノート(器)/木立 悟
 

どうしようもなく空に向かい
わたしは
影を失くす



足の下を踏みしめ
家々をすぎ
すべてに接する崖へと至る



見えない花のわたしは
ひとつの大陸でできた楽器の
よろこびとうつろに震える



けだものの灯る夜に
わたしは
打ち寄せる



閉ざされない花
海から原へ
手わたされる音



洞に燃える火を見つめ
わたしは
鳴り響く





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