機会者/狩心
に
一番安らぐ表情が
あるのだから
両手を広げて背伸びをする
一日が始まる
音が崩れる
恐れない
何に頼る事もない
髪型を逆立てて
小さな根を引っ張る
体中に着いた毛玉よ
胞子となって
ぐらついた窓に
顔を映せ
空になった酒瓶を
壁に叩きつけた
じぐざぐに交差する先端が
私の歯に似ている
首を締めて殺すと
口の中から
小さな青虫が飛び出た
赤いシャンデリアが落下する
卑怯なほど赤く
青虫の手の平を染めて
猿のように飛び跳ねる
貼り付けられたシールに
びっしりと文字が敷き詰められていて
満員電車の中に
誰も席を見つけられない
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