放置/黒川排除 (oldsoup)
 
東京ドーム三千六百二十七個分 の広大な敷地に立てられた遊園地は砂に埋もれた 鉄扉は申し訳程度の隙間を約二十年に渡って広げ続けていた 淡い記憶のフラッシュメモリー 吹かれたことや吹かれないことがまるで思い出にならない 何者からも隔離された遊園地はただ広く ただ空しく ただ悲しい

幼子は衣服を胸の辺りでしわくちゃに握りしめて ぼんやりと遊園地を眺めている 長大に組まれた鉄の柵がところどころでほころばす錆の模様 吹き上がる砂をつかまえた しおれて動かない風船 の模様は白線・一筆書きの昔日の城 はためく旗はどこへ 幻想の動物はちぎれた耳だけを置いてどこか遠い世界へ行ってしまったのか こころを揺り動
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