心臓をたもつ為の、遺された/石田 圭太
 
(たえず)未来について巡らず、しかしきみは生きていく無言歌
 夜をこちらに(朝をあちらに)語ろうとする(黙ろうとする)
 無言歌

 受け取らなければならなかった、きみに

 ぼくは、わからない歌を贈り返す
 きみは、わからない歌を贈り返す

 
 +


 やがて育つきみと(ぼく)のような、時
 と時、の間で、ここは
 時間について話し合うところ、ここでは
 それなりに近く、あまりにも遠い
 みずのない、うみの話もできる

 わずかに陸も残っている
 しろく、せつないくらい遠くまでみえる



戻る   Point(20)