ループ/チアーヌ
昔
家の前の道路はアスファルトで覆われていなかった
雨が降ると水たまりが出来て
長靴で入って行って遊んだ
夏の前
学校を休むと
斜め隣に住む同級生が
授業の内容を四つ折りにした白い紙に書いて
持って来てくれた
わたしは
遊びたかったけど
その子はいつも
すぐに帰ってしまった
寂しかった
ここでわたしは置いて行かれてしまって
どこにも行けないような気がしていた
周囲を山に囲まれた土地では
繋がっている場所が見えない
世界は分けられていた
流れてくる小川の水の中に
ハヤがいた
つるつるすべるように泳ぐ
光を受けると銀色に輝いた
小川
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