摩周湖/池中茉莉花
うっと わかれた
眩しすぎて思わず瞑った目を おそるおそる開けると
そこには
みどりの摩周
かぎりなく かぎりなく
透きとおった水が
鏡のごとく
陽の光を反射して
わたしたちを 照らした
それは 一瞬の出来事で
ふたりが顔をみ合わせたとたん
また深い霧につつまれてしまったのだけれど
(あの摩周をみた娘はお嫁にゆけなくなるのだと
真剣に悩んだっけ・・・)
じいちゃんの心の霧は
最期の季節に晴れたのでしょう
ある日の見舞いのとき
あなたの口から
後悔の念が 堰を切ったように
溢れだしたのだ と
伝えてくれた人がいました
わたしの霧も いつかは晴れるのでしょか
あの摩周を
もう一度 みられる日を
心静かに待ちながら
あなたがいなくなった この世界で
生きつづけているのです
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