sketches/
鴫澤初音
菜の花の黄色、
鳥が羽を広げて飛んでいくこと、
冬鳥の帰り道、懐かしむ、全ての美しいもの、
手の平を細く、かきわけて。
進む道をみたい。
咽喉の奥にたまった唾を吐き出して、
鍵をかけた自転車に乗る。
まだ息をひそめて、いて。
思い出してみる、君の言ったこと、一つ、一つ。
0211
そういう小説があった。もう二年も前に読んで、
それから部屋の本の中に埋もれて探しても見つからなかった。
三月さんは友達でもなんでもなか
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