うすげしょう/
こしごえ
遠い風の透けた
銀のしずくが
月影(つきかげ)おぼろにひびいて
さびしく薫る
ぬれた黒髪
結いあげる白い手
静かすぎる吐息の重さは
うつろな視線の光
映る予感の静寂が
白い手を空白に染めあげてゆく
無量無辺の光を縫う
影を空白にふくみ
鏡のまえで
うすらわらう黒髪が
遠く透けた風に
限りなくちかづいて……
すべての風へ旅立つ
あきらめることをしらぬけいぞくが
はてしない こゆびで紅(べに)をさす
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