走り去る電車すべての駅を過ぎ風は/本木はじめ
雨の中ドラムを叩く僕がいてピアノ奏でるきみがいる海
風の無い丘でうたた寝 ねぇここは風の駅かと聞いてくるきみ
ねぇ誰か教えておくれどうすれば僕は靴下を食べずにすむか
朝、窓を開ければ一面火の海で燃えているのは心か庭か
迷ってる迷っていない迷わない天気予報はあくまで予報
ありふれたねおんの渦のただなかできらきらびやかな奈落を想う
美しいきみのダミ声もういいよ世界征服宣言薔薇薔薇
水中に沈めたシャツは重いからもう誰ひとり僕を待たない
失えないものがあるのか考える盗んだ魚に問いかけながら
走り去る電車すべての駅を過ぎ風はきみへと帰っていった
戻る 編 削 Point(6)