遺された朝/木屋 亞万
るといいね
さよなら
外はまだ冬だけど
ほっぺたが乾いて少し痺れている
夜に猫と枕が舐めていたから
私には潤いが足りない
雪解けの甘みを含んだ水が欲しい
コップに入れた氷は
驚くほどに乾いていて
水の面影は少しもなかった
リンゴジュースを入れて
結露が着くのを待つ
顔見知りの水がチラホラ
私はそれをふた息で飲む
水道水で口をゆすいで
思い切り伸びをした後
もう一度ベットに戻る
足は床に温もりを
奪われていて
懐かしい温もりが
布団にはまだ残っていた
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