クリスマスのジャンプ/いねむり猫
 
折れてしまった

自分に注意を向けてくれる人を探すのは 
とても疲れるからね

だから 最後に
大きな声で
見知らぬ人たちに 呼びかけたんだ
目をつぶって

クリスマスのイルミネーションが
無数の星と無数の瞬く命へと
思いを導いている

ケーキに灯された明かりの周囲できらめく瞳
世界の片隅で
数秒毎に閉じて二度とは開かない幼子たちの瞳
愛を語り合う二人の吐息と見つめあう瞳の中の瞳
激しい暴力に一瞬止まる やせ細った吐息

あるいは 両親の重苦しいため息に迎えられる
貧しい小屋の中で生まれつづける命

クリスマスの夜が照らし出すのは
命が瞬いていることを知った
心とからだの震え

震えが
揺れ幅が 限界を超えたとき
ジャンプになるのかな

静かな聖夜 途中下車した駅から
わたしも揺れながら
一人で歩いてる

美しい光で溢れている街を
どこまで
一人で歩いてゆけるのかな


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