クリスマスのジャンプ/いねむり猫
 

クリスマスに電車が止まる
たった一人のジャンプで

軽く舌打ちをするOL
どうして? どうして? と母親に尋ねる子供

どうやら その死はどこへもとどかないよ
 
小さなわがままと
わずかなメッセージさえ
とどかなかった 命の明滅

目を背けているうちに
希望より大きく育ってしまった不安を
だれかに話したかった

大切にしてきた
思いと自分なりのこだわりに
うなずいて欲しかった

目を背けられてきた
長い悲しみの物語を 全部
聞いて欲しかった

ほんの小さな願いに
応えてくれる人を探し続けて
そして 疲れてしまった

人を求める心が 折れ
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