進化する/木屋 亞万
 
新しい年の最初の日
朝起きたら羽根が生えている
きっと人間の進化した姿なのだ

翼を広げて大空を飛び回っている
きっと気持ちいいのだろう
高度の維持に必死でよくわからない
俯瞰する町は青々と綺麗だ
山を越えて入り江を通り過ぎる
人が多い都市は赤潮みたいに汚れて見える

真昼の月が語りかけてくる
君の夢はじきに君のものではなくなる
夢は君の一部分ではない
対立されるべきものなのだ
二元的に見ればの話だがそのうち君は夢に支配される

これはまだ現実だ
夢は遠くにいる
進化は思っていたほど
素敵なものではなかった
血生臭いものだった
進化は変化ではなく生き残り
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