バッド・ショウ/三条
あなたのしなやかさと強い力を会わせ持つその腕は彼女の為だけにあるのね
あんまり似合いで薄汚いわたしには到底敵わない
解っている
そう、解っている
判りすぎている
まるで映画みたいに水面まで月とあなた達をわたしに見せつけるの
不公平
わたしのこのこころ、傷物に出来るのは世界で一人あなた
こんなにも粉々
この赤い爪も唇もわたしを守る為だけにあるのよ
彼女の爪も唇も、自然な味のままでしょうから
これは、意地
悲しい女の意地
月
どうか照らさないで
こちら、舞台袖
ステージには登らない
きっとずっと登らない
だからどうか照らさないで
ペンライトすら眩しいの
わたしには口にすべき台詞すら与えられていない
水面のスクリーンをただ一人
覗きみるだけの無法者
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