視線/
森さかな
なんども あなたの口のなか
滑らかにうごく舌を目で追って
なんども あなたが左手で記していった
細い字を指でなぞったよ
だからこんなにも、目眩
強烈な閃光に
包まれていたような
身体の欠落感を補うために
走りだすイマジネーション
くずれてしまった
果実のパイみたく甘美です
(落とすように鳴らした
ピアノの一音は
あたしの空洞 に
わんわんと響いて
離れたくはないのだと
こみ上げる涙と寂寥に
真夜中少しだけ、
つぶれた)
わかって
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