復想園(2)/
生田 稔
魔の父は、そのどやの最も小さく最も汚い部屋で死に絶えている彼を笑えなかった。 悪魔自身でさえ、自分に反抗したこの息子の生涯が羨ましかった。
悪魔は泣いたであろうか、いや悪魔は泣くことはない。悪魔に愛はなく、悪魔の支配を受くる者にも愛はない。
神こそは愛。神を知るものにこそ愛は訪れ、心の中に愛の想いの園が形造られるのである。
(二十七八ごろの作品です。その後の人生を象徴しているかのごときものでした。)
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