ノート(白路)/木立 悟
 


少しうつろに離されている
夜はいつも目の前を往く
あらゆる段差に驚かぬよう
強く強く歯をくいしばる



割れては集まる動きのなかで
曇は水に近づいてゆく
昨日消えたしたたりが
今日のしたたりに現われる



さえずるものがくる
吠えるものがくる
だが人はやってはこない
ただ夜だけがやってくる
ほの白い路をやってくる





[グループ]
戻る   Point(2)