狂ってなんかいないよ、君は僕だもの。/朽木 裕
「僕は狂っているのだろうか」
真剣な顔をして問うた彼を目前にして
あろうことか俺は吹きだして笑った。
狂ってるか?だって?
馬鹿馬鹿しい。だって人間なんてさ、
「狂ってなきゃ生きらんねーだろーが」
俯瞰していく意識。
腰掛けた机の上、俺のつむじを見つめる俺の意識。
彼、青山セイは案の定、不安定に目を泳がせて
泳がせて静かに下を向いた。
「そうか、」
俺の意識は四階の教室を抜けて外へ行く。
視点の急降下。
校庭の隅、可憐な赤い花。
…来栖ミキ。
校庭の隅にある砂を掻き集めて袋につめている。
俺は知ってる。
来栖はあれを家に持ち帰る
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