冬の日/岡部淳太郎
 
ひとりで歩く
なんでもない冬の日に
公園に行き
ベンチに腰かけて
砂場やブランコを
眺めていたりして
そういえば春の頃には
ここにも桜の花が咲いていたなどと
ぼんやり思ったりして
いまは冬の日であると
思い直す
あまりにもひとりでいすぎるのは
おかしいのではないか
それははたして
赦されることであるのか
そんなことを思いながら
とりあえずの風の寒さと
空の白さの下にいる
掃き忘れられた落葉が
操られるように舞っているのを見ていると
こんな地上で生きていることを
許可されているような気がして
猶予されてある時間に親しむ
これはなにか気づかずに置いてきた罪の
そのあとの余生ではないか
そんなことを思いながら
なんでもない日に
ひとりでいる
とりあえずのかたちで
ここにいる
ふたたび時が巡ればここにも
許すとか赦されるとか
思うことのない
あたらしい人たちが
やってくる



(二〇〇七年十一月)
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