大晦日/
たもつ
海賊が泣いていた
アスファルトの水たまりを見て
海を思い出していたのだろう
海の歌を歌ってほしいと言うので
何曲か歌った
関係ない歌もいくつかあったけれど
気づかれることはなかった
いつかおまえを海の男にしてやろう
守られることなく忘れられていく約束
海賊も僕も何となくわかってる
たぶん人はこのようにして
年をとっていくのだ
家に帰って妻と仲直りをした
娘とおせちのきんとんに使う芋を裏ごしした
三人で来年の話もした
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