離れる/
木立 悟
との境にうっすらと立ち
見えないことを解き明かす笑み
離れて在ることをけして赦さず
なのに離れていこうとする笑み
夜に光る 花の足跡
こぼれ落ち 消え
なお音となる
いくつものいくつもの問いと応え
その音のためだけに生きはしまい
泣きはしまい
冬を去る背を
追いはしまい
忘れた風や数のむこうに
二月と三月のかたちがある
紅のうた 衣のうた
手のひらの白に やわらかく鳴る
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