リライト:Gandou/風季
まになる
沸き立つ歓声に脛の脱力
置いてきぼりの剥き出しの砂利道
てのひらを石片に食ませ
胸をざらざらと伝っていく、切れた鎖、ルビーのロザリオ、仕方なく握り締める
つがう骨の窪みに圧し当てて
成さない叫び
朝はどうしよう
夕はどうしよう
車は、セラミクス塔へ辿り着いて
私の愛人は其処にいた
揺れる灯はアクアマリン、宇宙から寄せる波に息を合わせて、縦に連なる菱形の明り窓からあふれてこぼれて
塔は澄んだ水色の蛇になったよ
毎年決まった夜を、繰り返し祝う二人
彼は階段を降りきった場所で、紅い花を妻の手に託す
妻は山向こうを翔ける雲をいかにも惜しいと眺め
頷くよ
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