「教えてよ」/菊尾
 
手も足も動く
息だって容易いけれど
内側に空いてる隙間から
ポロポロ零しながら歩いてる

誰か叱ってよ
「行儀が悪いよ」って言いながら
それを捨ててくれて構わない
拾えないから離れてみるけど
足元にはいつだって落ちている

見失い始めた関係の終わりが今で
それでも続くもの
仮にそれがこの先にあったとしても
もうお腹が一杯です
誰を言い訳にしたいわけでもなくて
なんとなく人を離れたいだけ


電話して予約して
だけどなんか行けなくて
何笑ってるのそこの人
ちょっと理由を教えてよ

あんな笑顔が欲しいだけ
無邪気に振舞いたいのにさ
要らない言葉に振り回されたくない
その眼に映りたい


「なにも出来ないけどさ。」


「綺麗な場所に出かけよう。知らないどっかに。」



言いながら彼女は
遠くを眺めている

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