ランドリエ、メス捌き/鴫澤初音
 
  「君、を燃やしてみたいよね」隣で三月さんが言った。
  「え、私の、ハート?」笑って答えてみた。
  「いや、身体だよ。ほら、髪の毛とかさ、そういうのに
   火をつけてみたくない?」そう言った三月さんの指の
  煙草が燃えて足元に落ちていった。
  「え?」
  「え?」三月さんの奥の坂田が半分も残っている煙草の
  煙を流しながら顔を覗かせて言った。
  「まあ、まぁ、そう思うこともあるってことだよ」
   ポケットからパックを出して、煙草に火をつけて三月
  さんが言う。
  「何それ」坂田が笑う。知り合ったときそのままの幼さ
  は何年経っても、変わらずにいるね。笑う、こと。


   なんか、色々もめてて嫌だ。自分がどれほど人にきつ
  くなれるか、わかるからだ。どれほど人を傷つけても、
  平気だからだ。心が氷みたいに凍っていく。君の言葉も
  虚しいんだ。ねえ、その手を止めて、私に火をつけて、
  灰になりたい。空に散っていく、その青さに溶ける。
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