見つめ合い/鴫澤初音
 
。ガラスコップが冷たく、曇っていた。
  
  「初音ちゃん、」
  「え?」
  「どうしたの、それで、高さんは大丈夫なの?」
   弓ちゃんが手に持った本を机に置いて、こちらに顔を寄せていた。
  「ああ、うん。これからはつらくなったら、そう言ってもらうっ
  って。喜田さんが毎週木曜日に話してって、高さんに言ってたか
  ら、まぁ…、うん。今のところ突然辞める、ってことはないんじゃ
  ないかな、」
  「そっか…、うん。弓も最初はつらかったしなぁ」
   高さんがここを辞めたいと言ったわけをわかる気がした。どんど
  ん色褪せていく。何が大切だったのか、思い出せずに
[次のページ]
戻る   Point(1)