ルサルカが乙女に唄ふ唄/佐々宝砂
 
暖かきペチカの前に佇み、
爪弾くは古きバラライカ、
人の涙振り絞るその哀歌、
されど汝が知るは人の世の上澄み。

冬も凍らぬ我が泉、
彩るものはすみれか百合か、
されど汝が明日は如何にか、
モローズ爺は今宵も乙女を喰らひて舌鼓、

冬の嫁となる前に、
答へよや我が呼び声に、
時を逃して我が泉を去るか?

常春の我が家に、
汝が寝床整へし故に、
来たれよや、我はルサルカ。
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