軒並みぶっ倒れていたさ/鴫澤初音
君への電話
開いた君の声が笑顔だった 過ぎ行く眼の前の車の音が
急に聞えなくなるような 気がした
時折考える 私を思いとどまらせるもの って何だろう
一年前 それはただ恐怖だった 今は見つけた死に方を
手の中で玩ぶ日々 きっと冷静にいけると思うんだ
スカートが翻る 亡くなった人が囁いた言葉
思い出しても心に 突き刺さらなかった
今
私は誰にも愛されずにいて
誰かを愛してもいなくて
それを泣く理由にしたとしても
濡れたものはすぐ乾くことも知っていた
美しかったもの 全て
私の中に沈んでいく けれど見つけたものは
私を愛さなかった ただ
それだけ
生きていくことがそれほど
楽しいと思えなくなったのは きっと
幼かったころ遊んだことをもう 面白いと思えなくなったことと
同じなのかなぁ
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