氷姫/玲瓏
 
タイが連れて行ってあげよう」
 小鳥はこおりを抱えて空を飛び、固まって青くなったこおりを小鳥は温泉めがけて放りなげた。
 ざぶん、とこおりが湯につかると冷えたカラダはゆっくり溶けて温泉とこおりはひとつになった。
 お湯になったこおりが空を見上げてみると、たくさんの星たちが闇のなかで輝いていた。
「おじょうちゃん、溶けちゃいましたね」
「うん。とけちゃった」
「まあ、街にもどればまた固まりますよ」
「そうね、生きるって冷たいものね」
「その時は、また溶けにくればいいさ」
 こおりはコクンとうなづいて、しばらく空の星を眺めていた。

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