この世界を離れて ★/atsuchan69
 
僕に持ちきれないほどになった。

 そして僕は今、母の生まれた村で国語の教師をしている。
 
 父も母もあまりながくは生きなかった。
 でも思い出の中では、ふたりはとても幸せそうに笑っている。
 だからうれしくて‥‥あの天使だったころの日々を思うと、透明な涙が、なぜかポロポロとこぼれ落ちてとまらないのだ。

 もうじきだ。僕もやがて父と母の住む場所へゆくだろう。今ここに見えている――美しくもあえかなる――この世界を離れて。
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