レクイエム/石畑由紀子
寝つけずに気がつけば
枕元に私の子供が立っていた
一度だけ会えた時あの子は手も足もバラバラの血まみれで
顔なんてもちろんわからなかったけれど
不思議とあの子だ、と感じた
嗚呼、女の子だったのか
清潔そうな服を着ている
髪は私に似てクセのないストレートだ
名前を付けていなかったので何と呼んでいいかわからず
私の子供ちゃん、と呼びかけると
子供はまばたきだけで応えてきた
じっと私の顔を覗きこんでいて動かない
長い髪の先端が私の頬をかすっている
思えば私はあの男のことを思い出すことはあっても
この子のことを思い出すことは避けていた
血が繋がっていて
一緒に痛い思いをしたの
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