原風景/九谷夏紀
 
ものが見えない
変質だと思っていたのに
ほんとうだったり
誰にも聞けない
誰も知らない
あなただけが知っていること
あなたにだけしか聞けないこと
もっと聞きたかったのに
この距離が必要みたいだったから

あなたにまつわる国の事情
あなたに流れる民族の苦悩
あなたが話す呪文のような知らない言葉
私はとおく知っている気がする
どこかで見続けていた原風景を
もっと見たくて
あなたにまた会いたくなる

あなたと私に
なにがあったんだろう


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