いつか見た空/
川口 掌
鳥の
鳥達の軌跡を眼で追う
あんなに遠くの空の向こう側から あっちのあんなに向こうまで
必死で見つめ追いかけて 見失い
ああ
そんな事すら
かなわない
私の空は
壁から落ちたディスプレィ
空の
青 だけが床に横たわる
起こす事すら 気が重い
窓を開けよう
ドアを開け放とう
風を招きいれ 風に乗って
遠くの町で
誰も居ない町で
風を見つめ空を感じよう
小高い丘に登り声を張り上げよう
そこに きっと
新しい空が見つかる
いつか見た空のような
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