解放されたからだ/佐々木妖精
 
える
ここは月だ
ここは月だからだ

紫陽花のような地球外知的生命体(ウサギ)が二房
奪還した星条旗の上で
毛皮の宇宙服を着込み
実りの秋を待っていた

真空切り餅を
クレーターを掘って耳で包装し
あなたに差し上げますと
鼻をヒクヒクさせ
3メートルジャンプする
首と手を横に振って深々とお辞儀をし
新たなクレーターを創り
丁重にお断りする

声が出せない

からだ



残った彼らを
解放するため
2発の弾丸を込め
地球に銃口を向けると
胸に穴が開き
思考が空間にばら撒かれ
銃に代弁してもらうのを
辞めることができた
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