鉄塔にて/石畑由紀子
た 苦しいほどに意味にな/り、たい、(れ、ない、?)
三日月の鋭利でさえも満月の一部なのです 愛しき刄(やいば)
『阿部定にばっか狂気を当てるけど、笑って殺(ヤ)られる吉もイッてね?』
親指に力をこめて我の首絞めあげる手に笑みで応える
なぜ 朝は迷わず迎えにくるのでしょう ふたつの嗚咽で作った道を
ねえ、風よ、標識をズラして、おねがい、きっと正しく間違える、から、
愛おしき狂気に奪わる夢を見た 行こう 慟哭と 狩猟の血潮よ
聞こえない、見えないものも愛しました。ヘレン・ケラーになりたい。「waaa------ter---r---rrrrr--------------!!!!」
けたたましい靴音響く鉄塔の頂にて、満月と、待つ。------------------------ 君へ
( 、したためた手紙を日夜懐にしのばせる我甘き、狂い人)
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