鉄塔にて/石畑由紀子
(鍵盤が駆け上がる夜、/ガラス片、/鉄塔/に続く紅の、足跡、//)
裏側はどうなってるかわかりません そんな理由じゃ嫌わぬ 月よ
差しだすとき、グラスの中身は原液です。やさしくなくてごめんね、いのち、
(回転は加速度つけて 肉体か? 残像なのか? 焦げる匂いと、)
かなしみのふたつの肉がこだまする 刺さった悲鳴はどちらのものか
真夜中に君の名前を詰まらせて決壊 みぞおち震度6強
爪を切り、爪を伸ばして、爪を切り、爪が伸びゆく、嗚呼、嗚呼、嗚呼、、
酸素になって森を焼く夢を見ました
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