kiwi(連詩)/山中 烏流
 
げることしかできない
 
 ずいぶん遠くまで来てしまったんだね
 貴方はいつだって愛だ
 貴方をいつだって、
 
 
なぞった証には
羽が付きまとい続ける
その感触に甘える度
私はいつもより
強い、痛みを知る
 
伝わる声を、私の耳がさらう
 
限りある振動を
瞳に閉じ込めたとき
それでも貴方の声は
変わらずに、響いているだろうか
 
 
 散り散りになる
 舞い上がる羽の、ひとつ、ひとつ
 触れてみれば淡くなって
 
 大昔から貴方の肌に重なっていた気がするのに
 まだ足りない
 
 空が遠くなっていく
 私は地に、足をつけている
 
 
その存在と同じように
いつだって、届かなかったものに
私がようやく手を触れることを
一体誰が
咎めるというのだろう
 
面影は面影のままに
等しく、愛しいのだと
 
ひとつだけジャンプした、その時
私は初めて
私で、ある気がした。
 
 
 
 
 
 
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