収集/佐々木妖精
マンのお面をかぶり
ビリビリに破かれた宝くじを拾い集め
有馬でスッた馬券は
まだ熱かったので
三十路を迎えた女性の
婚姻届けでくるみ
元ニートのVAIOへ挟み
脇に抱え
余った方の手で
青白い腕をなぞり
血のしたたるガムをかみ締め
帰る
悲しくも美しい願い
暗い部屋の中で
それは
タイヤだとか
靴の跡だとか
犬のうんこの陰で
死期を悟った蛍のように
所在無く発光しているので
綿棒で掃除し
ストーブで暖め
飾り付け
悪気がないのは分かっているけど、たまんないよね
なんてツリーと語らい
名刺代わりに
自分の願いを1つ披露しては
はしゃぎ
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