妙な味のする指舐め/
鴫澤初音
僕を愛せないで いた ずっと
そう
僕は予兆に満ちた海を見ている 僕等が指で触った未来は直ぐに
過去になってしまうのは 何故 だろうか あれほど
笑い合った日々がもう 思い出せずにいる
通りすぎていく 未来が 還ってこないまま 歩き出しては
泣いて 霞んでいく光景を 見えない眼で 探していた それは
君の 姿 忘れていて 忘れていない もの
空が青かった 単純で汚れのないもの
美しかった 光が指の隙間を通りぬけていった いつか
戻る
編
削
Point
(0)