無題/海月
 
最後に交わした言葉を思い出せない程に
時間は過ぎていた
君の面影は美化されていて
本当の姿がどこにも無い

移り変わる季節の中で
落としていくものと拾うもの
どちらが多いのだろう

僕らの両手に溢れている
至福を知らず知らずに失くしている

冷たい銀色の心が胸に触れる度に
何処か遠くを思い返し
君の感情に触れられた気がして
自己満足に溺れられていた
それだけで僕は満足だった

嫌な部分を水溜りの色に混ぜて
隠していくものと見つかるもの
どちらが多いのだろう

僕らの両手に溢れている
狂気を知らず知らずに利用している
戻る   Point(0)