鏡降る夜/
木立 悟
も まことも
遠去かる
数の単位を砕いて生まれる
土に接する鏡の虹が
低くただ低く幾重にも
野の淵のようにゆうるりとはばたき
蒼と鉛を鳴らしつづける
あらゆるものを受け入れすぎて
見えなくなった片方の目が
自身以外を映してかがやく
弦の失い楽器のふくらみの
かたくやわらかなかたちにはねかえるもの
道であり水たまりである人の咽元の底に
燃えつづく鏡
燃えつづく鏡
燃えつづく鏡
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