ある別れ話の風景/猫のひたい撫でるたま子
例えばなしでなく、
これからずっと半年に1日しか会わないようにしよう
僕の全てが君のものでいいよなんて言ったけど、
全てを手に入れたつもりになって、
もしそうではなかったと知ったときに
君が何かを失う気持ちになるのはもう嫌だからさ、
せめていま珈琲を持ち上げてるその二本の指だけ
そう君の近くにあるそのライターだけでも僕が所有するってことにするのはどうかな?
体を含めて君が好きだから、もうセックスはしないで絶対に我慢して最後までするのは二度とやめよう
もし、してしまったらそれを最後の日にしよう
言葉さえも制限しよう
本当のことは口に出したら急に真実が剥がれ落ちるんだ
だからもう二度と本当のことは話さない
嘘ばかりついて2人で笑おう
どうしてとか理由とかって聞いたって分からないから
そういったことは元からないと決めよう
今までの2人を思い起こしていい場所は
この潰れてしまいそうな喫茶店の窓側一番奥の席だけと決めよう
煙草は二本までしか許さない
君を愛してるんだ
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